とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

40年以上前に設定された抵当権抹消

 先日、ウチで相続登記をした方から40年以上前に設定された抵当権抹消に関する相談がありました。抵当権者(債権者)は相続登記の依頼者のお祖父さん(A)、債務者は現在の不動産所有者(DEFの3名で共有)の父親で両者ともすでに亡くなっています。

 

 抵当権者の相続人は抵当権者の養子であり、かつ、依頼者の両親(B及びC)です。ウチで母親(C)の相続登記を手がけましたね。

 

 聞き取りの結果、被担保債権はすでに完済されているとのことなので抵当権だけが残っている状況です。ただ、いつ頃完済したかについては当事者全員亡くなっているため分からず仕舞いです。

 

 相続登記の依頼者及び現在の不動産所有者と打ち合わせをした結果、抵当権の相続登記をした上で「放棄」により抹消することにしました。登記の手順はこんな感じです。

 

3-1:平成8年に亡くなった抵当権者AからB及びCへの相続登記

法定相続分(各々の持分は2分の1)で登記する。なお、Bについては申請人兼Cの相続人とする。(保存行為)

 

3-2:抵当権C持分(2分の1)につきBへの相続登記

→Cの相続登記をした際に添付した遺産分割協議書に「この分割協議書に記載なきその他の財産全てはBが相続する」旨の記載があったため、抵当権のC持分もBが相続することになる。

 

3-3:「年月日放棄」を原因とする抵当権抹消登記

登記権利者はDEFの3名になるが、共有になっているためDを申請人として登記を進める。(保存行為)

 

 数年前にも、個人名義の抵当権の相続登記をした上で「放棄」により抹消したという事例がありました。この時は抵当権者たる個人が作成した公正証書遺言があったので、手続がすんなりと進みました。今回も遺産分割協議書など相続関係書類一式があったので思っていたよりは手続がすんなりと進みそうです。