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不動産登記法第70条の2による休眠担保権の抹消

 先日、久々に戦前の産業組合名義の抵当権抹消の話がありました。抵当権者は「有限責任○○村信用購買販売利用組合」です。なお、抵当権者は○○村農業会に承継されているので、○○村農業会につき不動産登記法第70条の2の規定を適用することができるか否かにつき検討することになります。

 

 まず、不動産登記法第70条の2の要件は下記(1)~(4)すべてになります。

 

(1)解散した法人の担保権であること

(2)清算人の所在が判明しないこと

(3)法人の解散後30年が経過していること

(4)被担保債権の弁済期から30年が経過していること

 

 上記の4つの条件全てに当てはまる場合、供託等をしなくても、不動産所有者は、単独で、その登記の抹消を申請することができます。(不動産登記法第70条の2)

 なお、上記「(2)清算人の所在が判明しないこと」についてですが、公的書類等で清算人の所在を調査すればよく、現地調査までは不要となりました。ゆえに亡くなっている場合は亡くなっている旨の戸籍一式を添付すれば良いことになります。

 

※参照

(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)
第70条の2 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から30年を経過し、かつ、その法人の解散の日から30年を経過したときは、第60条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。