とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

建物賃貸借契約終了時における賃借人の修繕義務

 先日、相談があった件になります。アパートの賃貸借契約が終了し荷物も片付け、家主さん立会の下明け渡そうとしたところ、家主さんから床や壁など経年劣化したと思われる部分の修繕を求められたとのことです。

 

 そこで、契約書を確認したところ、経年劣化した部分につき賃借人の修繕義務を認める特約はなく「賃借人の責に帰すべき事由により建物を破損した場合賃借人が賠償する。」とありました。そのため、経年劣化した部分については賃借人たる相談者に修繕義務はないものとすることができます。また、国土交通省ガイドラインによれば「賃借人の責に帰すべき事由とは、賃借人に故意や過失がある場合であり、経年劣化と通常使用摩耗は賃貸人の責で賃借人の責ではない」とされています。

 

 よって、今回の相談のケースも相談者が賃貸人からの請求に応じる必要はなさそうです。ただ、それでは話が前進しないため、賃貸人が「修繕して欲しい箇所」と「修繕費用」を明示した上で相談者たる賃借人に修繕を求めるのが筋である旨を、賃借人たる相談者から賃貸人に文書で通知してもらうことにしました。

 

 賃貸人からの請求が具体的なものになればこちらも対応しやすいので、様子を見ることになります。